新年おめでとうございます。QA代表の丸山です。
ユニバーサルアナリティクスが停止する今年7月まで、いよいよ半年を切りました。
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2023年のアクセス解析業界のビッグイベントは、間違いなくユニバーサルアナリティクスの停止だと思います。 しかし、じゃぁ停止するからGA4を入れようと素直に考える前に、これはせっかくのチャンスと捉えてもらう方がきっと実りが多いです。そこで今日は、新年一発目の記事として、私が感じているこれから数年のアクセス解析ツールのトレンドをお伝えします。
ユニバーサルアナリティクスのデータをバックアップし、QAアナリティクスのビューワーで見れるGoogle Analytics Data Backup by QAを作成しました。詳しくはこちら。
本来のアクセス解析ツールの役割について聞かれたら、おそらく多くの人がユーザー行動を分析し、サイト改善のヒントを得ることと答えるのではないでしょうか。
それを表すかのように現在、海外ではセッションレコーディングやヒートマップなど、行動を可視化するツールの市場が拡がっています。 それらツールは、2022年12月のBusiness Research Insightsのレポートでは2027年まで年間25.89%で伸びると予測されています。
▼Recording and Session Replay Tools Market Size, Share, Growth, And Industry Analysis By Type (Cloud Based, On-Premise) By Application (SMEs, Large Enterprises) Regional Forecast to 2028
https://www.businessresearchinsights.com/market-reports/recording-and-session-replay-tools-market-102462
しかし、それも長期のトレンドでいえば小さな動きで。 私は今後5〜10年ほどで、アクセス解析ツールのメインテーマは、下記3点に集約されていくと予測しています。
ことの発端は、昨年世の中を騒がせたAIです。
▼ChatGPT使い方総まとめ
https://qiita.com/sakasegawa/items/82069c97a1ee011c2d1e
▼画像生成AI「Stable Diffusion」でイラストの要素を読み取ってオリジナルの要素を引き継いだイラストをサクッと生成可能にする「Tagger for Automatic1111’s Web UI」の使い方まとめ
https://gigazine.net/news/20221122-stable-diffusion-tagger/
どちらもAIの生成する「コンテンツ」が人間と遜色なくなっています。 このブログの下記アイキャッチ画像もAIに作ってもらいました。
まだまだな所もありますが、メディアアーティストの落合陽一氏の予測では、2025年には人間を超えて高精度なコンテンツを生成しまくるAIが誕生するそうです。
これは、近々ウェブコンテンツの一部分がAIにより補完可能であることを示しています。 そしてご存知の通りAIの精度を支えるのは「データ」です。
Googleも当然AIに対して投資をしています。 主要な投資分野の一つは「パーソナライズの精度アップによる広告の自動化」です。
そもそも今回、ユニバーサルアナリティクスが急に停止しGA4にとって代わるのは、投資対効果の改善と考えるのが自然です。 無料で大量のデータを保存し、集計する必要があり、かつAIに対するデータ提供ができないユニバーサルアナリティクスは、今やGoogleにとってお荷物です。
そこで、まずGoogleとしてはAIの広告精度アップに役立つデータを取得できるGA4に変化をさせたい。 そうなると、ある程度アクセス数があり広告を出してくれるサイトが優先の設計になります。(規模がないと自動推測が難しいため)
GA4は広告ツールだと言われるのはそこで、もはやGoogleが弱小サイトのために無料の分析ツールを出す意味がありません。 なのでレポート系は後回しで、データ設計が先に進んでいます。が、思ったよりクレームが多いので分析機能の対応も急いでいるという印象を受けます。
あとはGoogleもクラウドの利用者を増やしたいと考えているので、GA4を入口に分析プラットフォームとして発展させたい意図は感じます。しかしどうしても彼らのツールはエンジニア向きで敷居が高いので、そこが悩みになりそうです。
マイクロソフトはClarityというヒートマップツールを出してきました。 こちらは元からGoogleアナリティクスと競合せずに市場の隙間を縫うプロダクトとして設計されているはずで、ユニバーサルアナリティクスの停止は想定外だったと思います。ということで元々の狙いはGoogleとは若干異なると想定していますが、やはりAIが絡んでいます。
彼らの狙いはMicrosoft Azureのパワーアップです。 例えば、ユーザーの行動パターンから、彼らの顧客管理アプリケーションに応用したり、ウェブサイトのコンテンツを動的に変化させるサービスなどが該当するでしょう。 これはAppierなど既存のAI企業が提供している機能によく似ています。
人の行動パターンにはある程度規則性があることがわかっており、その直近の動作を見ることで、その次の動作を予測することが可能です。 従って、彼らが欲しいのはヒートマップではなく、たとえば、人がフォームを入力する時の行動データです。 ですからヒートマップを提供する代わりにそのデータを頂戴ね、ということになりますし、実際にサイトにもそのように書いています。
▼Clarity。永久に無料です(中程に無料の理由を書いてます)
https://clarity.microsoft.com/pricing
ということで無料提供はずっと続くと思いますが、もし彼らのサービスに今後変化があるとすると、彼らは直近のデータしか不要なため、おそらくデータ保存期間や集計期間を下げる可能性はありえると思います。
私は巨人の盲点は2つあると考えています。
1つは分析ツールを作りたいわけではないこと。 もう1つはスモールビジネスの人間の能力を甘く見ていることです。
どちらも彼らのビジネス上は正しい判断だと思われますが、これにより困る人達が出てきます。 QAはその人達向けに役立つサービスを作りたいと考えていますし、それにより、冒頭であげた3点をクリアできると考えています。
QAアナリティクスは、セッションとイベントのデータをとりあえず全録し、自社にデータを貯めます。 そして、それを上記3つの観点で活用できるように発展させる予定です。QAアナリティクスが開発当初から「自立分散型行動データ分析プラットフォーム」と名乗っているのは、これらの動きを見据えてのもので、その関連特許(P7011367)も取得しています。
今年はGAの停止に伴い、ウェブ担当者としてどのツールを選ぶ、もしくは併用するかが問われる年になると思います。
この時、アクセス解析ツールを今までのGAみたいなものと捉えれば深く考えずに済むのですが、お伝えしたようにサイト内のデータを取得し、様々なことができるツールだと捉えるとまた見え方がかわってくると思います。
とどのつまり、AIもデータの上に形成されるものであり、データがこれから様々なサービスを生み出していきます。
昨年末のISMのLTにて、「サイトの質を上げる!ツールに振り回されない分析のポイント」としてお話をしたのですが、こんな反応を頂きました。
▼ISM LT 祭り 2022 開催レポート
去年はAI元年でしたが、今年はそのベースとなるデータを取得するアクセス解析ツール元年だと思っています。
ここで紹介した以外にも様々なツールが出ていますので、ぜひ今年はツールにイニシアチブをもって少し調べてもらうと、アクセス解析の新しい面も見えてきて楽しんでもらえるのではないかと思います。
ツール調査や比較がめんどくさい場合は、まずGA4は広告ツールなので入れて設定してもらって、あとはこれ宣伝ですけど、うちのQAアナリティクスを選んで頂ければ損はさせません。
その割とまじめな理由を下記に列挙しておきます。
嘘でしょ?というくらいメリットが多いのですけど、私はもともとマーケティングのコンサルタントでもあるため、自分達が使いやすいツールを作っています。問題点があるとすれば、小さなベンチャー企業がずっと改善を続けているのでしばしばUIにバグが出ることですが、そのあたりは他のツールも頻度の差こそあれ一緒かなと思っています。
あと大切なこととして、私は日本がITで世界に負けているのが悔しく、なんとか日本から世界に通じるソフトを生み出したいと思っています。ぜひお使いいただき、フィードバックを頂ければ嬉しいです。2023年は一緒に日本から世界に勝負しましょう。
著書:無料でできる!世界一やさしいGoogle Analytics-アクセス解析-入門 Twitter